相続における節税対策は、相続する遺産の種類やその価値によって大きく異なります。相続税の対象には、現金だけでなく、有価証券、不動産、生命保険など、経済的価値のあるすべての財産が含まれます。それぞれの財産に対して、どのような節税対策が有効かを見ていきましょう。
株式の評価方法と節税
有価証券の中でも、株式は評価の際に特に注意が必要です。株式は以下の3つに分類されます。
上場株式
公開市場で取引されている株式。
気配相場のある株式
非上場だが市場で取引される可能性がある株式。
取引相場のない株式
非上場で、通常は公開市場での取引がない株式。
特に上場株式の評価額の計算方法にはいくつかの選択肢があり、節税の観点から、最も低い評価額を選ぶことができます。具体的には、以下の4つの方法のうち最も低い額を評価額として選ぶことができます:
- 被相続人の死亡日の終値
- 死亡した月の毎日の終値の月平均額
- 死亡した月の前月の終値の平均額
- 死亡した月の前々月の終値の平均額
この柔軟な評価方法を利用して、上場株式の評価額をできるだけ低くすることが、相続税の節税に繋がります。
遺産の種類を工夫して節税
一部の財産は、相続税の評価対象外となることがあります。特に、墓地、墓石、仏壇などの被相続人を葬るための財産は、非課税財産として認められます。ただし、これらを生前に購入しておく必要があります。死後にこれらを購入した場合は、非課税の対象にはなりません。そのため、可能であれば、被相続人が生前にこれらを購入することをお勧めします。ただし、相続した現金や預貯金を使ってこれらを購入すると、購入に使用した金額が相続税の課税対象になるため、注意が必要です。
不動産を利用した節税方法
不動産は相続財産の中でも大きな割合を占めることが多く、その評価方法によって節税効果が大きく変わります。いくつかの有効な節税方法を紹介します。
更地に貸家を建てる
空いている土地に貸家を建てることで、土地の評価額を下げることができます。さらに、貸家を建設するために借りたお金(借入金)は債務控除として相続税の計算において差し引かれるため、全体として相続税の減額に繋がります。ただし、貸家そのものは新たな財産として相続税の対象になるため、バランスを考えて計画することが重要です。
家屋の改装
家屋の改装にかかる費用は、建物の評価額に加算されないため、生前に改装を行うことで、相続後の税負担を減らすことができます。相続後に改装を行うよりも、生前に準備することで節税効果を高めることができます。
宅地の評価軽減特例
一定の条件を満たす宅地については、評価額を軽減できる特例があります。この特例は、特に相続人が住んでいる宅地や事業に使用されている宅地に適用されることが多いです。以下のような場合に適用されます。
小規模宅地等の特例
税の評価額を大幅に軽減できる特例があります。この特例を利用すると、評価額が最大で80%減額されることがあります。
最後に
このように、遺産の種類ごとに適切な節税対策を講じることで、相続税の負担を大幅に軽減することができます。それぞれの財産に応じた対策を計画し、相続が発生する前にしっかりと準備をしておくことが重要です。