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遺言の基礎知識

遺贈についての詳しい説明

遺贈のイメージ図

遺言では、相続以外にも特定の人に遺産を与えることを指定することができます。これを遺贈と言います。遺贈を受ける人は受遺者と呼ばれ、遺贈により相続権のない人でも遺産を受け取ることができます。たとえば、特定の団体に遺産を寄付したい場合などに遺贈が利用されます。また、遺贈は相続人に対して行うことも可能です。遺贈には特に限度はありませんが、相続人の遺留分(法定相続人が最低限受け取れる相続分)は保護される必要があります。

遺贈の種類

遺贈には主に2種類あります。

特定遺贈

  • 特定の財産を指定して遺贈する方法です。具体的には、遺産の中から特定の金額や物を指定して与えることを指します。
  • 例:「遺産の中から500万円を●●に寄付する」や「所有する絵画を▲▲に与える」などが該当します。

包括遺贈

  • 遺産全体の中から一定の割合を指定して遺贈する方法です。これは特定の物や金額を指定するのではなく、遺産の総額に対する割合を決めて与えることを意味します。
  • 例:「遺産の2割を●●に寄付する」や「遺産の全体の1/3を▲▲に渡す」などです。
  • 民法第990条には「包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する」と記載されており、包括受遺者は相続人と同様の権利と義務を持ちます。

遺贈の実行と注意点

遺贈は遺言者から一方的に指定されるものです。そのため、受遺者にとっては遺贈の存在を知らなかったり、遺贈の内容に戸惑うことがあるかもしれません。特に包括遺贈の場合、相続と同じように債務も引き継ぐことになります。つまり、遺産の一部を受け取ると同時に、その割合に応じた借金や債務も引き継ぐことになります。

受遺者が遺産の分割に伴うトラブルに巻き込まれたくない場合や、遺贈によって債務を負いたくない場合には、遺贈放棄をすることが可能です。遺贈放棄は相続放棄と同様に、遺贈の事実を知った日から3か月以内に手続きを行う必要があります。手続きが適切に行われないと、遺贈放棄が認められない可能性があります。

遺贈の具体例

例えば、遺言者が「私の遺産のすべてを●●財団に寄付する」と指定した場合、これは包括遺贈にあたります。●●財団は遺産全体の一定割合を受け取ることになり、その割合に応じた負債も引き継ぐことになります。一方で、「私の遺産のうち、500万円を●●基金に寄付する」という場合は特定遺贈となり、●●基金は指定された500万円を受け取るだけで、負債は引き継ぎません。

遺贈の影響とまとめ

遺贈は遺言者の意思を反映する重要な手段であり、遺産を特定の人や団体に与えることができます。しかし、受遺者にとっては遺贈の内容が負担になる場合もあります。特に包括遺贈では債務も引き継ぐため、受遺者が遺贈を受け取るかどうか慎重に判断する必要があります。遺贈放棄の手続きを忘れずに行うことが重要です。遺言を作成する際には、遺贈の内容について十分に検討し、相続人や受遺者の立場を考慮することが求められます。専門家の助言を得ることで、円滑な相続手続きが進むように配慮することができます。

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