生前贈与とは、被相続人(財産を遺す人)が生前に自分の財産を他の人(受贈者)に贈与することを指します。これにより、被相続人の死亡後に相続財産が減少するため、相続税の節税対策として用いられることがあります。しかし、これが相続人に不利に働くこともあります。
生前贈与が相続に与える影響
相続開始の1年以内の贈与
- 相続開始の1年以内に行われた贈与は、その財産が遺産に含まれます。これにより、相続人はその贈与された財産を含めて遺留分(最低限の取り分)を請求することができます。
- 遺留分を侵害する贈与が1年以上前に行われていた場合でも、その贈与が遺留分権利者に損害を与える意図で行われたと証明できれば、その財産も遺産に含まれます。
特別受益としての生前贈与
- 相続人への生前贈与は「特別受益」として扱われます。特別受益とは、特定の相続人が被相続人から生前に特別な利益を受けたことを指します。これは贈与ではなく、相続の一部として考えられ、他の相続人との間で不公平が生じないように調整されます。
- 特別受益は、相続開始の1年以上前の贈与も含まれます。
形見分けとは
形見分けは、故人が生前に使っていたものを、親しい人や縁のある人に譲ることを指します。これは儀礼的な意味合いが強く、故人の思い出を共有するための行為です。
一般的な形見分けの対象
- 衣服、アクセサリー、趣味のコレクションなど、個人的な使用品が対象です。これらは一般的に高価ではなく、形式的に行われることが多いです。
高価な品物や届出が必要な品物
- 高価なものや法律で届け出が必要な品物(例:不動産や車など)は遺産の一部と見なされ、相続の対象となります。
法律上の扱い
- 形見分けの品も相続財産とされ、相続人全員の共有財産となります。そのため、相続人全員の同意がなければ勝手に形見分けをすることはできません。
- 形見分けを行う際には、相続人全員が同意していることを確認する必要があります。そうしないと、後々のトラブルの原因となる可能性があります。
まとめ
生前贈与
相続税の節税対策として利用されるが、相続人に不利に働くことがある。特に相続開始の1年以内の贈与や特別受益としての贈与は遺産に含まれる。
形見分け
故人の個人的な品物を親しい人に譲る儀礼的な行為。高価なものは相続財産として扱われる。形見分けを行うには、相続人全員の同意が必要。