トップページ > 老い支度 > 相続の基礎知識Q&A
老い支度

相続の基礎知識Q&A

Q&A

被相続人が交通事故で亡くなったのですが、損害賠償で得られるお金は相続の対象になるのでしょうか?

はい、相続の対象になります。具体的には、被相続人が有していた加害者に対する損害賠償請求権を、相続人が引き継ぐことになります。この損害賠償請求権のほかにも、特許権や著作権(著作者人格権を除く)など、被相続人が持っていた権利で、死亡後も有効なものは相続の対象となります。例えば、特許権を相続した場合には、その権利の名義変更手続きを忘れずに行う必要があります。これは、意匠権や実用新案権の場合も同様です。
一方、生命保険金や死亡退職金については、受取人が特定の第三者として指定されている場合、そのお金は指定された受取人の固有財産とみなされます。そのため、これらは相続財産には含まれません。

お腹の中に子供がいるのですが、この子は相続できるのでしょうか?

はい、相続できます。被相続人が亡くなった時点で胎児であった子供も、無事に生まれてくれば相続権を持ちます。

認知はしているものの、一度も会ったことのない子供がいます。この子供に相続をさせたくないのですが、遺言で指定すれば、それは可能でしょうか?

生前に家庭裁判所に相続人の相続権を剥奪する「相続廃除」という制度を請求することができます。ただし、質問のような状況では相続廃除は適用できません。相続廃除には民法第892条に規定されている一定の事由が必要です。具体的には、「非相続人に対して虐待をし、重大な屈辱を加えたとき、またはその他の著しい非行があったとき」が該当します。しかし、これが家庭裁判所で認められるケースは稀です。

相続廃除は家庭裁判所への請求だけでなく、遺言による廃除も可能です。遺言による廃除の場合、遺言執行者を立て、その執行者が廃除の請求を行います。

注意すべき点は、相続廃除が認められた場合でも、廃除された相続人の子供には相続権が残ることです。これは相続欠格の場合も同様で、相続権を剥奪された相続人の子供は相続の対象となります。なお、廃除の取り消しも生前に家庭裁判所に申し立てるか、遺言によって行うことが可能です。

被相続人に借金があることを知らずに、相続手続きをしてしまいました。このような場合は改めて相続放棄できますか?

基本的には、理由なく相続の承認や放棄を撤回することはできません。しかし、詐欺や脅迫など特別な理由がある場合には、相続承認や放棄を取り消すことが可能です。この場合、借金を知るに至った経緯や、相続人の借金返済能力など、具体的な状況が考慮されるため、専門的な知識を持つ弁護士に相談することをお勧めします。

すでに財産の一部を処分してしまっている場合、原則として相続放棄は認められません。ただし、例外として、腐敗しやすい物の売却や、相続財産の保存を目的とした処分行為は認められることがありますが、この判断は慎重に行う必要があります。

借金を相続人で分配しようと思っていましたが、債権者から債務者を誰か1人にまとめてほしいと言われました。この場合、そのとおりにしなければならないのでしょうか?

相続人同士で債務を分配することは可能ですが、債権者に対してその分配を主張することはできません。法定相続分に基づいて債務を相続するため、「私は債務の5分の1を負担します」といった相続人間の取り決めは、債権者には通用しません。

ご質問のケースでは、もし債権者が特定の相続人1人を債務者とすることを承諾した場合、そのとおりの遺産分割協議を成立させることで、他の相続人は債務の負担から免れることができます。

ただし、債権者が債務者を1人にまとめるように指示したとしても、相続人が必ずそれに従わなければならないわけではありません。相続人全員が納得する方法を見つけることが重要です。

関連記事

カテゴリ

タグクラウド