長兄と次兄がどちらがお墓を引き継ぐかで揉めています。長兄は「生前にお墓を任せると言われた」と言っていますが、次兄は「遺言には書いてなかった」と譲りません。どうすればいいでしょうか?
祭祀の承継については、正式な遺言がなくても口頭で伝えられたものでも構いません。指定がなかった場合は、相続人同士で協議して決定します。それでも決まらなければ「慣例に従って祖先の祭祀を主宰すべき者(民法897条)」が行います。最終的には家庭裁判所が判断します。遺骨についても同様で、遺骨は遺産ではないので相続の対象になりません。遺骨の所有者も祭祀主催者となります。
母が「自分が死んだらあの指輪をあげるわね」と言っていますが、遺言に書いていない場合でもその指輪を形見分けとしてもらえますか?
指輪が高価なものであれば、遺産分割の対象になります。そうでない場合は形見分けの対象になることが一般的ですが、遺産分割協議でしっかり取り決めをするほうが良いでしょう。例えば、形見分けの品を誰かが一括管理するとか、相続者全員の合意がなければ形見分けしないなどの取り決めをしておくとトラブルを防げます。
被相続人が財産目録を作成していなかったので、財産を調査することになりましたが、どこまで調査すればいいのでしょうか?
相続では、相続承認、放棄、相続税の手続きなど期間が定められています。相続人の間で合意が得られれば、その時点で目録作成となるのが一般的です。後に新たな財産が見つかった場合は、その都度遺産分割を行う取り決めをしておきましょう。調査会社に依頼することもできますが、費用は遺産から出せませんし、必ずしもすべての財産が見つかるわけではありません。依頼するかどうかは相続人間でよく相談して決めましょう。
被相続人が事故で亡くなり、相手から慰謝料を受け取ることになりました。この慰謝料は相続財産に含まれますか?
慰謝料請求権は相続の対象となります。訴訟で争われている不動産なども同様で、訴訟の結果が出るまで遺産かどうか判明しないことがあります。したがって、そのようなものは遺産分割の対象として協議することは困難です。
被相続人が海外に不動産を所有していました。その不動産を相続する場合、相続税がかかりますか?
海外の財産を相続する場合、相続人の住所と国籍が重要です。相続人の住所が国内にあれば日本の相続税がかかります。相続人が日本国籍を持ち、相続発生前5年以内に相続人または被相続人が日本に住所を持っていた場合も日本の相続税がかかります。株式なども同様です。
被相続人が借主であるマンションに住んでいますが、被相続人が亡くなった場合、そのマンションを相続できますか?また、更新料などを支払う必要はありますか?
賃借権は被相続人の債権として扱われ、相続の対象となります。相続の場合、貸主の承諾を得る必要はありませんし、新たに更新料や承諾料を支払う必要もありません。借地権も同様です。相続人が複数いる場合、遺産分割が成立するまでの間、複数の相続人が共同賃借人となり、賃貸人は各相続人に対して賃料全額を請求できます。