相続財産の存在を確認する
相続財産はその存在が明らかになって初めて相続の対象となります。以下のような資料を手掛かりに、故人が残した財産をしっかりと調査することが重要です。
- 財産目録
- 固定資産課税台帳
- 預貯金の通帳
財産の隠匿に注意
特定の相続人が財産目録や預貯金の通帳を隠してしまうことがあります。例えば、自分が故人の面倒を見てきたから、自分だけが知っていれば良いと考える相続人がいる場合です。このような隠匿行為は問題を引き起こすため、注意が必要です。
名義変更の手続き
預貯金や不動産の名義変更には、相続人全員の実印と印鑑証明が必要です。したがって、相続人全員で財産の確認を行うことが不可欠です。相続財産の全体像が把握できていない段階で、相続人の1人から実印や印鑑証明を求められた場合、内容をしっかり確認し、応じる前に慎重に対応する必要があります。
財産調査の手順
相続開始時(被相続人の亡くなった日)における預貯金や金融資産の残高証明書を集め、不動産の評価額を確認し、その他の財産も確認して財産目録を作成するためには、以下の手順を踏むことが一般的です。
- 預貯金や金融資産の残高証明書を集める: 各金融機関から残高証明書を取得します。
- 不動産の評価額を確認する: 固定資産税課税台帳や、不動産業者に依頼して評価額を算定します。
- その他の財産を確認する: 株式や投資信託、貴金属、動産など、他の財産も確認し、財産目録を作成します。
通常の過程でも1~2カ月かかり、相続税の発生が確認される場合は、最低でも2~3カ月かかります。財産調査は簡単ではありませんが、しっかりと行うことが重要です。
相続税の申告とリスク
相続税の申告が必要な場合、財産を隠匿すると以下のリスクが発生します。
- 追徴課税: 隠匿が発覚すると、追徴課税が課されます。
- 重加算税: 悪質な場合は30%以上の重加算税が課されることがあります。
協議の重要性
遺言書がない場合、相続人全員で協議して財産を分割する必要があります。特定の相続人が財産調査や協議に応じない場合、親族間のトラブルが発生し、最終的には家庭裁判所での解決が必要になることがあります。これにより、親族が分裂し、お墓の管理など他のトラブルにも発展する可能性があります。
相続人の協力
「自分はいらない」と主張して相続財産調査に協力しない相続人がいる場合でも、他の相続人に迷惑をかけることになります。相続人それぞれに事情があるとしても、相続財産調査に協力し、財産総額を確認したうえで、きちんと協議・分割に向き合うことが重要です。
以上のように、相続財産の調査は複雑で時間がかかりますが、適切に行うことで、相続人全員が納得できる形での財産分割が可能となります。