これまでは、相続が始まるまでの流れとそのルールについて見てきました。この記事では、相続される遺産について知っておくべき基本事項と、遺産分割のルールを相続財産の種類ごとに詳しく見ていきます。
まず、相続を始めるためには、相続財産がどこにどれだけあるのかを把握することが必要です。被相続人が生前に作成した財産目録がある場合でも、その目録が現状を完全に反映しているとは限りません。例えば、目録に記載された不動産が担保に入っていることや、目録にない財産が発見されることはよくあります。また、被相続人が誰かに貸したまま返却されていない財産も存在するかもしれません。
連帯保証などの保証債務も相続の対象になりますが、これは意外と見落とされがちな項目です。保証債務は被相続人が他人の借金の保証人になっていた場合に発生しますが、このような負債が存在するかどうかの確認も重要です。目録が残されていない場合はもちろん、目録があってもそれが完全であるとは限らないため、確認作業は必須となります。
相続人が複数いる場合は、遺産分割を決定するために相続財産がどれだけあるかを全員で把握し、その情報を共有する必要があります。そのため、財産目録の作成は必ず行うべき作業です。財産目録を作成することで、相続人全員が平等に情報を持ち、スムーズな遺産分割が可能となります。
被相続人の通帳が、亡くなる直前まで記帳されていれば、残高を確認する際に大いに役立ちます。しかし、通帳などで明確に確認できない場合は、各金融機関に相続開始時の残高証明を請求することが必要です。この手続きには、必要書類と戸籍謄本が必要となるため、行政書士に依頼するのも一つの手段です。行政書士は手続きをスムーズに進めるための専門知識を持っているため、時間と労力の節約になります。
債務の場合も同様に、借金などの返済義務がどこにどれだけあるかを明確にすることが必要です。これには相続人からの債務も含まれます。例えば、被相続人の入院費や治療費、交通費などを立て替えていた場合は、その金額も債務として整理しなければなりません。これにより、相続財産の正確な評価が可能となり、相続人間での公平な遺産分割が実現します。
最後に、相続財産の把握と整理は、相続人間のトラブルを未然に防ぐためにも非常に重要です。正確な財産目録を作成し、全員が納得できる形で遺産分割を行うためには、事前の準備と確認作業が欠かせません。専門家の助けを借りながら、慎重に進めていくことが成功の鍵です。